画像は「Microsoft Designer」で作成しましたよ
私はとある地方都市で洋菓子店を営んでいるいわゆるパティシエだ。
とは言え最近まで自分からパティシエなどと名乗ったことはなかった。
自分のことはしがないケーキ屋のおやじだと思っているのだが常連の北白川様にパティシエと名乗るべきだと勧められたのだ。
東京進出しても話題のお店になリますよ!そんな嬉しいことを言ってくれるうちの大事な常連さんだ。
まだお若いのに会社を経営し、都内の有名スイーツ店も食べ歩いているそうである。
そんなある日、来店した彼女に依頼されたのはクリームブリュレであった。
ラインナップにはないケーキだが、私は快く承諾した。
クリームブリュレは修行時代にみっちり仕込まれているので自信を持ってお出しできる。
受け渡し時間の2時間前に無事焼き上がり、冷蔵庫で保存していた。
「ごきげんよう、できてるかしら」
北白川様のご来店だ、喜んでいただけると良いのだが。
こちらがクリームブリュレです お出しするなり彼女は言った。
「なにか違うのよねえ」
あぁそれは残念です、何が気になるのでしょうか
「なにか違うのよねえ」
でも味は保証付きです。
「厚過ぎるのかしら」
いえ、それほど厚くもないかと。
そもそも上手に固まるように薄いものが多いんです。
繊細な固さに出来上がっております、おいしいですよ。
「なにか違うのよねえ」
そうですか。。。どうされます?
「なにか違うのよねえ」
そう仰られましても。。。今回はキャンセルされますか?
「いえ、持って帰りますけど、何かがはっきり違うのよ」
何が違うかご指摘いただけると次回に活かせるのですが
「それがわからないから困ってるんじゃないの!だいたいあなたこんなしがないケーキ屋のおやじがパティシエを名乗るなんて恥ずかしいと思いなさい!」
申し訳ございません。。。これじゃあクレームブリュレだよ。。
「それよ!」
?。。。と、仰いますと?
「クリームブリュレじゃなくてクレームブリュレ!元来フランス宮廷料理なのだからクレームブリュレが正しいのよ。」
では北白川様。。。こちらが、、クレームブリュレでございます。
「今回も良い出来ね、パティシエ」
ありがとうございます。
「来週の同じ時間にプリンを30個大丈夫かしら」
承知しました、デコレーションのご希望はございますか?
「以前いただいたレモンジャムをお願い」
彼女は軽やかな足取りで帰って行った。
『元来フランス宮廷料理なのだからクレームブリュレが正しいのよ』
『元来フランス宮廷料理なのだからクレームブリュレが正しいのよ』
『元来フランス宮廷料理なのだからクレームブリュレが正しいのよ』
そんなことを言い出したらプリンはイギリス起源だがらプディングと呼ぶべきだし、日本で一般的なカスタードプリンはフランス発祥なのだからクレームキャラメルと呼びなさいよ。
そしたらデコレーションはレモンジャムじゃなくてコンフィチュール デ シトロンだからな!
様々なクレームブリュレを揃えております
